別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
翌日。

不安でいっぱいで出社した私に対して、皆は普段通りの対応をして来た。

拍子抜けしたけど、よかった。

ほっとしたけど、午後に松島さんから滝島課長の事を聞いて複雑な気持ちになった。

「滝島ね、本社から飛ばされるって話よ」

「昨日の騒ぎのせいですか?」

「それもあるし、他にもね。各方面から反感を買ってたみたいだし」

「まあ……独裁的でしたもんね」

取引先からも社内からも、かなり反感を買ってたはず。

「どこに異動になるんですかね」

「海外支社だって話よ。多分、フランスかアメリカになるんじゃないかしら」

「え? 結構よいところに行くんですね」

海外支社への配属を希望している社員は多く、騒ぎを起した罰で異動って感じの行き先と思えない。

「仕方無いわ。奥さんが役員の娘だからね。ある程度の地位は保証されてるのよ」

「ああ……そうでしたね」

「まあ今は、本社から消えてくれるだけでいいわ。本当に目障りだったもの」

「そ、そうですか」

松島さんはすっきりした表情をして、ばっさりと滝島課長を切り捨てたあと、思い出したように言った。
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