別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
それから一月後。

滝島課長の、フランス支社への転勤が発表された。

役職は支社長。

一見、昇進と思われるその人事で滝島課長のプライドは保たれたのか、堂々とした振る舞いで引継ぎをしている。

奏人は部長が定年退職をするまでの間は、補佐として引継を兼ねた勉強をするそうだ。

松島さんは、営業担当として二課に異動になった。

早速二課に移り、滝島課長と毎日のように争っている声が聞こえて来る。


そして私は、経理部への異動を命令された。

意外な人事に驚いたけれど、大学で簿記の資格も取っていたし、数字を見るのは嫌いじゃない。早く戦力になれるように頑張ろうと思う。



奏人との関係は順調だ。

大きな喧嘩もせずに仲良く暮らしている。

会社ではすっかり公認のふたりになり、一緒にでランチに出ても誰も気する様子もない。

梓なんて、最近は奏人のことを「理沙の旦那」なんて呼んでいる。


平日はお互いに新しい仕事に追われて残業ばかりだけど、なるべく一緒に夕食をとるようにしている。

週末は図書館に行ったり、ドライブに行ったり、充実した生活だ。
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