別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「弟達も理沙に会うのを楽しみにしてる。仲良くしてやってな」

「うん、もちろん」

「家は狭いのに家族はいっぱいだから、理沙は驚くと思うな」

「大丈夫だよ、にぎやかな家って楽しそうで好きだよ」

「結婚式の日程とかも話さないとな」

「うん……あれ?」

結局、今日結婚の挨拶をする流れになってない?

最近、こんな風に奏人に上手く丸め込まれることが多い気がする。

ちょうど赤信号で止まったので、私は奏人に抗議の視線を送り、文句を言ってやろうとした。

だけど口を開く前に、素早くキスをしかけられる。

こんな人目があるところで、なんてことをするの?

そう言いたいのに、奏人の幸せそうな微笑を見ると何も言えなくなった。

「理沙、好きだよ」

惚れた弱み。

「私も、好きだよ」

奏人がいてくれるなら、それでいいって思ってしまう。

「ふたりで幸せになろうな」

それは嘘偽りない心からのプロポーズ。

そう信じられるから。



『プロポーズ、そして嘘』end
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