別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
奏人は珍しく緊張感を漂わせ、私の様子を伺っている。
私はニコリと笑って明るく言った。
「そんな気にしないで大丈夫だよ。私だって奏人に嘘言うことあるし」
「えっ?……何?」
目を丸くする奏人に、私は気まずい思いで白状する。
「身長、体重。どちらとも微妙に誤魔化してるの」
「……身長?」
奏人はまじまじと私を見つめた後、困ったように眉をひそめた。
「理沙、俺が言ってるのはそんな事じゃないんだ」
「え……それなら嘘って何?」
なんだか急に不安になった。
奏人の態度がとても真剣で厳しくて、いつもと違う感じがしたから。
胸元を毛布で隠してベッドから起き上がった私に、奏人が言った。
「身分、経歴に関して殆ど全て」
「……は?」
どういう……事?
身分、経歴が全て嘘?
だとしたら私の知っている奏人は、偽りの存在だって事になるんじゃないの?
まさか、そんな事ある訳がない。
一年も付き合っていたのだ。奏人のアパートにだって何度も行った。おかしな所なんて見当たらなかった。
頭ではそう考えてるのに、本能的な警戒心が働いているのか、心臓がドクリドクリと音を立てる。
お願い。今のこの会話こそ嘘だと言って!
祈るように奏人を見つめる私を真っ直ぐ見返して奏人は言った。
「名前も違う。俺の今の名前は、小林奏人じゃなくて、北条奏人だ」
私はニコリと笑って明るく言った。
「そんな気にしないで大丈夫だよ。私だって奏人に嘘言うことあるし」
「えっ?……何?」
目を丸くする奏人に、私は気まずい思いで白状する。
「身長、体重。どちらとも微妙に誤魔化してるの」
「……身長?」
奏人はまじまじと私を見つめた後、困ったように眉をひそめた。
「理沙、俺が言ってるのはそんな事じゃないんだ」
「え……それなら嘘って何?」
なんだか急に不安になった。
奏人の態度がとても真剣で厳しくて、いつもと違う感じがしたから。
胸元を毛布で隠してベッドから起き上がった私に、奏人が言った。
「身分、経歴に関して殆ど全て」
「……は?」
どういう……事?
身分、経歴が全て嘘?
だとしたら私の知っている奏人は、偽りの存在だって事になるんじゃないの?
まさか、そんな事ある訳がない。
一年も付き合っていたのだ。奏人のアパートにだって何度も行った。おかしな所なんて見当たらなかった。
頭ではそう考えてるのに、本能的な警戒心が働いているのか、心臓がドクリドクリと音を立てる。
お願い。今のこの会話こそ嘘だと言って!
祈るように奏人を見つめる私を真っ直ぐ見返して奏人は言った。
「名前も違う。俺の今の名前は、小林奏人じゃなくて、北条奏人だ」