別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
名前
課長の探るような視線に気まずさを覚えている私の横で、奏人は核心はサラリとかわし、ソツなく返事をしている。
そんな余裕の態度が気に入らないのか、課長の口調は段々厳しくなっていく。
やっぱり課長は奏人を良く思ってないみたい。
奏人は人当たりもいいし、知り合って間も無い人に嫌われるタイプじゃないのに、どうしてなんだろう。
疑問に感じながら二人の会話をなんとなく聞いていると、聞き捨てならない言葉が聞こえて来た。
「北条君がさくら堂に来た事で、“小林さん”もホッとしているでしょうね」
……小林さんって、奏人が私に名乗っていた偽名だ。
割と良く聞く苗字だけど、課長の口から出た“小林さん”が偶然とは思えない。
そう言えば、奏人になんで小林と名乗ったのか聞いていなかった。
社長の関係者だと知られたくなかったから、北条と名乗らなかったのは分かったけど、沢山ある苗字からあえて“小林”って名前を選んで使ったのは理由があるのかもしれない。
関心があるせいか、視線もあからさまに奏人を見てしまっていたようだ。
私の視線に気付いた奏人が、凄く気まずい顔をしている。
課長に嫌味っぽい事を言われても平気だったくせに、この話題はNGみたいだ。
でも私としては気になって仕方ない。
早く何か言って欲しいと待っていると、
「そろそろ行きましょうか」
のんびりした部長の声がかかり、気がかりな会話もそこで終了してしまった。
そんな余裕の態度が気に入らないのか、課長の口調は段々厳しくなっていく。
やっぱり課長は奏人を良く思ってないみたい。
奏人は人当たりもいいし、知り合って間も無い人に嫌われるタイプじゃないのに、どうしてなんだろう。
疑問に感じながら二人の会話をなんとなく聞いていると、聞き捨てならない言葉が聞こえて来た。
「北条君がさくら堂に来た事で、“小林さん”もホッとしているでしょうね」
……小林さんって、奏人が私に名乗っていた偽名だ。
割と良く聞く苗字だけど、課長の口から出た“小林さん”が偶然とは思えない。
そう言えば、奏人になんで小林と名乗ったのか聞いていなかった。
社長の関係者だと知られたくなかったから、北条と名乗らなかったのは分かったけど、沢山ある苗字からあえて“小林”って名前を選んで使ったのは理由があるのかもしれない。
関心があるせいか、視線もあからさまに奏人を見てしまっていたようだ。
私の視線に気付いた奏人が、凄く気まずい顔をしている。
課長に嫌味っぽい事を言われても平気だったくせに、この話題はNGみたいだ。
でも私としては気になって仕方ない。
早く何か言って欲しいと待っていると、
「そろそろ行きましょうか」
のんびりした部長の声がかかり、気がかりな会話もそこで終了してしまった。