別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
早くもばれてるなんて……もしかしたら移動中を見られた?

私は内心焦りながら言い訳がましく言う。

「部長と二課の課長も一緒だったんですよ。コンビニに行こうとしていた所に、偶然会って誘って頂いたんですよ」

「部長と課長が?」

「はい」

「中瀬さん、お弁当じゃないの?」

「今日はちょっと寝坊して作れなかったんです」


私、何で訊問されているんだろう。
悪いことはしていないのに。

早く解放されたいと思うんだけど、松島さんはまだ居座る気配濃厚だ。

こんな時に限って、電話もかかって来ない。

仕方なく大量の書類を机に広げたりと、忙しいアピールをしてみるものの、松島さんが察してくれる気配は全くない。

しばらくすると、松島さんは私の隣の奏人の席の椅子を引き、座りこんだ。

これは長くなりそうだ。

うんざりしていると、松島さんがキョロキョロと周囲を気にした後、声を潜めて言った。
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