ポイントカードはお持ちですか?
「伊月君、元に戻ったね」
私を呼びに来た奈美さんが、遠ざかる伊月君を見てそう言った。
「戻った?」
「うん。前のボサーッとした感じに」
「髪は、また伸びたかもしれませんね」
以前のように目元が隠れるほどではないものの、少し長くなっている。
「髪だけかな?なんだか背中がくすんで見える。シャンとすればまた格好よくなるだろうけど」
「そう、ですね」
一応同意してみたけれど、私にはそんな風に思えない。
私に客観的な判断は無理だ。
もうずっと素敵にしか見えないのだから。
「あ、咲里亜ちゃん、課長!」
「おっと、そうでした!」
伊月君に関して、私は誰よりわかっていないのかもしれない。