ポイントカードはお持ちですか?
やはり一日二日では無理だったけど、さすがに一週間もすれば〈鬱血〉もキレイに消えた。
隠すことに躍起になっている間は意識する余裕もなかったコレ。
でも家に帰って一人〈その跡〉を見ると鏡の中でみるみる顔が赤くなった。
あの瞬間は自覚する暇もなかった熱や唇の感触も蘇ってくる気がする。
伊月君の思考は本当に全然理解できない。
首筋にキスマークをつけられるなんて本来もっと甘やかなものだと思うのに、彼からはそんな感じがしない。
私は何か彼を怒らせるようなことをしたのだろうか?
職場ではひたすら〈筋違い〉ということで押し通した。
もちろん匂いの少ないタイプの湿布薬を買い直して、カムフラージュのため両肩に貼った。
思い出したように、時々痛むフリまでした。
それでも本人に「これはどういうつもり!?」と問いただす機会はなかった。
一度タイミングを逃すともう無理。
どんなに顔を合わせてもそこはあくまで職場で、こんなデリケートな話題を持ち出せる時間も場所もないのだ。
よくもまあ、その〈職場〉でこんなものをつけられたものだと思う。