ポイントカードはお持ちですか?


話している二人の横で待つのは急かしているようで嫌だから、車に乗ってカーナビで途切れ途切れにバラエティ番組を見ながら伊月君を待った。

このカーナビはフルセグのはずなのに、田舎にはそもそも電波がないのかワンセグしか入らない。
それすら途切れるからいまいち内容がわからないまま一番組見終えたところで、伊月君が戻ってきた。

助手席に座る私を見て驚いたようだ。

「あー、お疲れさまー」

「・・・お疲れさまです。帰ってなかったんですか?」

「後片づけ丸投げするのは悪いじゃない」

「別に気にしなくていいですよ」

「もう気にしちゃったんだから、もっと言うことないの?」

「まだ手伝ってもらってないので、最後に言います」

「・・・そうだね」


当然伊月君の運転で暗い夜道を帰る。
街中とは言っても田舎の夜は早い。
震災以来街灯も減ったから尚更。


「ずいぶん長かったけど何かトラブル?」

「いえ、ほとんどは世間話です」

「そっか、大変だね」

「仕事には関係ないけど、人の話を聞くって面白いですよ」

「えー、私は仕事じゃないなら帰りたい」

「人と関わる以上、仕事とプライベートの境ってあいまいなところもあると思うんです。咲里亜さんだって、仕事だったらもう帰ってしまってよかったのに、善意で残ってくれたじゃないですか」

ああ、なるほど。そうなるのか。
あまりに割り切り過ぎるのは楽だけど寂しいもんね。



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