ポイントカードはお持ちですか?
カップで出てくるタイプの自動販売機でココアを買う。
仕事中はあまーいのが飲みたい。
あまーい言葉とかでもいいですよ(イケメン限定で)。
だけど今一番欲しいのは部長のあまーい評価だな。
ココアができあがるまでの数十秒、少しでも目を休めようと目を閉じた。
あークラクラする。
ココアができあがったと音でわかったけど、目を開けたくない。
このまま眠ってしまいたい。
・・・・・・・・・
「咲里亜さん」
肩を掴まれてビクッとする。
なんか一瞬寝ていたように思える。
「大丈夫ですか?」
心配したように伊月君が言う。
この人でもこういう表情することあるんだな。
「あー大丈夫大丈夫。ちょっと・・・寝てただけ」
ココアのカップを取り出す。
まだ熱いから、長い時間寝ていたわけではないようだ。
「今、ちょっと時間いただいていいですか?」
「うん、いいよ」
課の方に戻るかと思ったのに、伊月君はまったく反対方向に歩き出した。
スタスタ歩く背中をココアをこぼさないように気をつけながら、少し早歩きで追う。
伊月君は突き当たりの非常階段脇で止まった。
「あれ、見てください」
窓の外、右の方をのぞき込むようにしながら言うので、私も同じように窓に近づいて右を見た。