ポイントカードはお持ちですか?
「うわー!かわいいー!」
空がピンクに染まっていた。
夕焼けなのだが、どういう自然現象なのかピンク色なのだ。
青空はまだわずかに残っていてその部分はパープル、雲に反射している部分だけがピンク。
パープルとピンクがマーブル状になった空の底には、沈む太陽が黄金色にキラキラと輝いている。
美しいながらも、そのままポーチのデザインにしてしまいたいようなかわいらしい色合いだった。
どのくらいそうしていたのか、太陽のキラキラが普通の夕日になるまで、私はぼんやりとその幻想的な夕焼けを見ていた。
目が痛いほど疲れていたことも忘れて。
「そろそろ、仕事に戻らなきゃ」
「すみません。忙しいのに付き合わせて」
「ううん。あんなの見たらとりあえず誰かに教えたくなるよ。見られてラッキーだった。ありがとう」
ぬるくなったココアを一気飲みして紙コップを捨てる。
その後仕事の能率が上がったのは、ココアと夕焼けどちらのせいだったのだろう。
とにもかくにも、資料は無事に仕上げることができた。
だけどもし私が本物の肉食獣だったら、課長の命は翌日に尽きていたと思う。