ポイントカードはお持ちですか?

「うわー!かわいいー!」

空がピンクに染まっていた。

夕焼けなのだが、どういう自然現象なのかピンク色なのだ。

青空はまだわずかに残っていてその部分はパープル、雲に反射している部分だけがピンク。
パープルとピンクがマーブル状になった空の底には、沈む太陽が黄金色にキラキラと輝いている。

美しいながらも、そのままポーチのデザインにしてしまいたいようなかわいらしい色合いだった。



どのくらいそうしていたのか、太陽のキラキラが普通の夕日になるまで、私はぼんやりとその幻想的な夕焼けを見ていた。

目が痛いほど疲れていたことも忘れて。


「そろそろ、仕事に戻らなきゃ」

「すみません。忙しいのに付き合わせて」

「ううん。あんなの見たらとりあえず誰かに教えたくなるよ。見られてラッキーだった。ありがとう」

ぬるくなったココアを一気飲みして紙コップを捨てる。

その後仕事の能率が上がったのは、ココアと夕焼けどちらのせいだったのだろう。

とにもかくにも、資料は無事に仕上げることができた。



だけどもし私が本物の肉食獣だったら、課長の命は翌日に尽きていたと思う。


< 33 / 143 >

この作品をシェア

pagetop