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恋のはじまりっていつも楽しかったと記憶している。

誰かにこの気持ちを言いたくって「内緒だよ！誰にも言わないでね」って何人にも言い触らしていた小学生・中学生時代。
見かけるだけでキャーキャー騒いで、一部始終を親友に漏らしまくっていた高校時代。

最後に恋を始めたのは２０代前半で、ドキドキワクワクした気持ちのまま付き合って、そのままダラダラ数年を過ごした。
別れた時でも２０代半ばだったから、「またそのうち次があるよー」とのんきに構えていたものだ。

次が訪れないまま数年経ち、３０歳を迎えてまもなく始まった恋は、のっけから絶望を伴っていた。


キーキーと一応騒いでみたものの実はあんまり気にしていなかった３０歳。
それがここにきてネックになっている。

昔みたいに若さを免罪符にして思い切った行動に出られない。
伊月君に近づきたいなー、とは思うものの「三十路のおばさんが急にプリプリ話しかけてきた」と思われたらって考えると、怖くてとても近づけない。

これまで仕事以外の話もしてきたし、仕事の流れとは言え食事に誘ったことだって何回もあるのに。
今となってはなんでそんなことができたのか、過去の自分に伏して教えを請いたいくらいだ。