ポイントカードはお持ちですか?
びっくりしたまま考える。
・・・あなたは一体誰ですか?
「・・・あの、咲里亜さん?」
「・・・伊月君?」
「はい」
「伊月君?」
「はい」
「い、い、伊月君!!」
「はい」
確かに声は伊月君だけど、逆に言うと声くらいしか伊月君じゃない。
モサモサに長かった髪はすっきり整えられ、サラリと風に揺れる。
前髪が長めなのは変わらず、でも横に流されてはっきりと見えるようになった顔はとてもきれいな肌をしていた。
細身の黒デニムに白と黒のギンガムチェックのシャツ、それに大きめの黒のカーディガンをサラッと羽織るファッションはダサくなくおしゃれ過ぎず。
背が高く姿勢のいい彼にはとてもよく似合っていて・・・つまり、つまりは、
ものすごーーーーく、格好いい!!
いや、元々知っていたように顔立ちは決して整っているわけではない。
きれいな眼球はともかく、まあ、普通だ。
印象が薄い、悪く言えばはっきりしない顔立ち。
だけど、だからこそ、顔以外の雰囲気がそのまま伊月君の印象に直結している。
美容師さんやスタイリストさんにあるような「よく見ると別にイケメンじゃないのになんとなく格好いい」っていうやつだ。
髪型は人の印象の9割を決めるという。
━━━━━こいつ、9割上げてきた・・・