ポイントカードはお持ちですか?
迷いなく口に運ぶ伊月君の横で、私はまっしろな山を見つめて逡巡する。
だって、これは間違いなく牛乳なのだ。
「もし食べられなかったら残りは俺が引き受けるので心配しないでください」
「あ、だったら口付ける前がいいよね。そっちが終わったらお願いします」
「まずは食べてみてください」
・・・それって、私が口つけた後を伊月君が食べるってこと?
うわあああああ!ちょっと、それは無理!恥ずかしすぎる!
よく考えたら、伊月君と料理をシェアしたこともあるのだから今更だ。
だから伊月君だって抵抗なくそんな提案をしてきたのだろう。
だけど、あの頃と今とでは私の気持ちが全然違う。
しかもソフトクリームは、なんとなく気まずい。
大嫌いな牛乳を全部飲み干す覚悟で、私は息を止めてソフトクリームに口をつけた。
・・・・・・あれ?
もう一口。
・・・・・・・あれれ?
「味、しないでしょう?」
「うん。無味」
牛乳どころか、甘みさえほとんど感じない。
ただただ冷たいとてもなめらかなクリーム。
まとわりつくようなクリームがとろりと溶けて、その濃厚さに反して何も残らないほどサラッとした後味なのだ。