レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
【1】



朝、ザアザアと窓を叩く雨の音で目が覚めた。


9月も半ば。
この一週間、すっきりとしない天気が続いている。



独り暮らしの狭い部屋。
その隅っこにあるベッドから起き上がった私は、窓越しに灰色の空を眺めると、小さな声で呟いた。



「また雨か……」



雨を見ると思い出す。


君と過ごした日々。
決して色褪せることのない思い出。





「別れよ……」

理由も言わず、私の前から君が立ち去ったあの雨の日から、
もうすぐ1年が経とうとしていた。





――忘れる事のできない恋。


私の心の中に留まり続けているレンアイ前線が、あの日からずっと、雨を降らせ続けている。























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