レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
ウシロスガタ
君との出会いは、大学1年生の時。
たくさんのサークルの中から興味本位で選んだワンダーフォーゲル部の説明会で、たまたま前後の席になったのがきっかけだった。
高校卒業と共に上京し、独り暮らしを始めたばかりの私には、知り合いと呼べる人もまだいなくて。
「名前、何ていうの?」
君がくれた、そんなさりげない一言がとても嬉しかった。
明るい性格の君にとっては、ごく普通のことだったんだろうけど。
昔から人見知りが強かった私は、そのとき緊張のせいで目も合わせられなかったんだ。
だから、俯きながら小声で言った。
「雨宮<アマミヤ>しずく……です」
それを聞いた君がポツリと呟いた一言を、私は今でもよく覚えている。
「なんか秋っぽい名前だね」って。
今まで梅雨みたいと言われたことあった。
だけど、秋っぽいと言われたのは初めてだったから。
「へ……?」
なんて、思わず間抜けな声を出してしまったっけ。