レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
だけど、本当はわかっていた。
心の中ではどこか期待している自分がいること。
一年前の出来事を、全部なかったことにしたいって思ってること――……。
でも、コワイ。
また傷付くのが怖いから。
雨が降り続く自分の心に、霧のバリアを貼ってしまうんだ。
「……千秋がまだ私のこと好きなんてあり得ない。
だって私、一年前に振られてるんだよ?
それ以来、一度も連絡取ってないんだよ?」
自然と口調が強くなっていくのが、自分でも分かる。
でも、梓は怯む様子もなく続けた。
「そんなことないっ!
中瀬くん、サークルの時、しずくが座ってた席をいつも切なそうに見つめてる。
しずくがプレゼントした時計も未だに肌身離さず付けてる。
その、お揃いのケータイのストラップだって……外してないんだよ?」
梓はそう言って、私のバッグのポケットから少しだけ顔を覗かせた、千秋とお揃いのストラップを切なそうに見つめていた。