レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
「……ねぇ、しずく。
一年前の別れには、きっと何か理由があるんだよ。
中瀬くん、しずくのこと忘れてなんかない。
だから……今度の登山、行こ?
中瀬くんと会って、ちゃんと話そうよ。
私、これ以上辛そうなしずく、見ていられないよ……!!」
――必死に私を説得しようとする親友を前に、私は何も言い返せずにいた。
私が知らない、一年前からの君。
ただただ、戸惑うばかりの私は、そこからどうやってバイト先に行ったのかも覚えていない。
それ以来頭の中は、
『シズクノコト、ワスレテナンカナイ』
その言葉に支配されていた。
私はいったい、どうすればいいのだろう――……?
「……雨宮さん。やっぱりこの間から変だよ」
ボーっとする私の横で、さっきと同じバイト仲間が小さな声で呟いていた。