レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
夕飯のメニューは特に決めてきたわけではない。
何がいいかな、と考えながら店内を回る。
すると、タイミング良く奥の方から、タイムセールスの声が聞こえてきた。
「ただ今より、15分間、お肉・お魚全品3割引となります!!」
店員のやたらと明るい声が今の気分にそぐわなかったが、独り暮らしの私にとっては3割引はとても大きい。
一応見に行ってみるかな……。
そう思い、人が集まってきている方へと足を進めた。
でも。
聞き慣れた声が聞こえてきた瞬間、私の動きが止まる。
「中瀬くん!!
あっちでタイムセールスやってるよ。お肉買おう、お肉!!」
とても嬉しそうなその声。
数メートル先に現れた男女の姿。
私は、絶句した。
「中瀬くん!こっちこっち!」
「わかってるって」
それは……
紛れもなく梓だっから。
そして隣には、買い物かごを片手に笑顔を向ける君――……。
まるで停電のように。
一瞬で目の前が真っ暗になった。