レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
ボーッとそんなことを考えながら煎れたコーヒーは、数日前よりももっと苦かった。
私はきっと、この味を一生忘れることはないだろう。
口の中でジワジワと広がる苦味が、想いの強さを示しているような気がした。
その証拠に、口にするたび、君の後ろ姿が脳裏に浮かぶ。
私が恋した、君の後ろ姿。
大好きな……背中。
だからなのかな?
君は振り向くことなく、進んでいく。
いくら想っても届かない位置まで、
進んでいく――……。
この時の私は、どん底にいた。
心の中は、どしゃ降りで。
何も聞こえないフリをしていた。
この恋前線は、もう動くことはない。
だから、もう二度と、太陽には会えない。
そんな風に、思っていたんだ――……。