レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】



ボーッとそんなことを考えながら煎れたコーヒーは、数日前よりももっと苦かった。


私はきっと、この味を一生忘れることはないだろう。


口の中でジワジワと広がる苦味が、想いの強さを示しているような気がした。


その証拠に、口にするたび、君の後ろ姿が脳裏に浮かぶ。



私が恋した、君の後ろ姿。
大好きな……背中。


だからなのかな?


君は振り向くことなく、進んでいく。


いくら想っても届かない位置まで、


進んでいく――……。





この時の私は、どん底にいた。

心の中は、どしゃ降りで。
何も聞こえないフリをしていた。



この恋前線は、もう動くことはない。

だから、もう二度と、太陽には会えない。


そんな風に、思っていたんだ――……。









< 32 / 47 >

この作品をシェア

pagetop