レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
よく見ると、千秋の肩が上下に動いている。
「……走って来たの?」
「うん……まぁ」
その時、君の頬がほんのり赤く色付いた気がした。
頭の中が混乱する。
だって、今頃もうみんなで出発しているはず。
君の大好きなイベント。
「張り切っている」はずのイベント。
なのにどうして、ここに来たのだろう……?
「梓は……?」
私が聞くと、千秋は淡々とした様子で言った。
「もう行ったよ。
今頃、みんなで登り始めたんじゃね?
ほら、その。
今日はあの時の山だから……」
――あの時。
言葉を濁した君の態度ですぐにわかった。
私たちが、初めて一緒に登った山だ……。
そのてっぺんで、君が告白してくれた。