レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
沈黙を恐れ、簡単な質問を繰り返す私と、
ただ、その質問に答えるだけの君。
二人の間には、もう一年前のような、甘くて柔らかい空気はない。
そんな中、私の顔色を窺うように、ようやく君から話し出した言葉。
「行かねぇの……?
梓、心配してるよ」
「……」
私は、全てを察した。
結局、君がここに来た理由は梓が心配してたから、なのだろう。
思い返してみれば、君が最初に言った
‘電話に出なかったから何かあったのかと思って’
そのセリフにも<梓が>という前置きが付いていた。
――ずきん、ずきん。
胸の奥からジワジワと広がってくる痛み。
耐えられなくなった私は、パッと君から顔を背けて言った。
「私、行かないってメールしたじゃん。
ケータイ、充電切れてただけだから。
早く梓のとこ行けば?」
冷たく言い放ったつもりなのに、その声は微かに震えていた。