レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】



沈黙を恐れ、簡単な質問を繰り返す私と、

ただ、その質問に答えるだけの君。


二人の間には、もう一年前のような、甘くて柔らかい空気はない。


そんな中、私の顔色を窺うように、ようやく君から話し出した言葉。




「行かねぇの……?
梓、心配してるよ」


「……」


私は、全てを察した。


結局、君がここに来た理由は梓が心配してたから、なのだろう。


思い返してみれば、君が最初に言った


‘電話に出なかったから何かあったのかと思って’


そのセリフにも<梓が>という前置きが付いていた。



――ずきん、ずきん。

胸の奥からジワジワと広がってくる痛み。


耐えられなくなった私は、パッと君から顔を背けて言った。



「私、行かないってメールしたじゃん。

ケータイ、充電切れてただけだから。

早く梓のとこ行けば?」


冷たく言い放ったつもりなのに、その声は微かに震えていた。





< 36 / 47 >

この作品をシェア

pagetop