レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
「……しずく……」
小さな声で、君が呟く。
何とも言えない表情で私を見つめる。
――やめてよ。
そんな瞳で見ないで。
中途半端な同情なんていらない。
今さら、そんなの……。
お願いだから早く忘れさせて……。
――せっかく出始めていた日射しが、再び雲に被われていく。
「……じゃ」
これ以上は無理。
私は涙を堪えながら、ドアを閉めようとした。
それなのに――……。
ぐいっ
「っっ!!」
気が付いた時には、少し汗くさい君の香りがすぐそばにあって。
頭と背中に、たくましい腕が回る。
優しく伝わる温もりに包まれる。
「……ごめん」
そう呟く君に、
私はただ抱き締められていた。