レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
告白は君からだった。
あの説明会がきっかけで、2人とも同じサークルに入って。
いつの間にか「しずく」「千秋」なんて名前で呼び合って。
私たちの距離が近づくのに、それほど時間は掛からなかった。
出会って一ヶ月も経っていないのに、
周囲からも羨ましがられ、「早くくっつけ」とまで言われるほどの仲の良さ。
法学部の私と、教育学部の君とでは、受ける講義は違ったけれど、
空き時間が合えば、必ずと言っていいほど2人とも部室へと顔を出し、他愛もないお喋りをする。
そんな私たちが、友だちから恋人への第一歩を踏み出すきっかけを作ってくれたのは、4月末に行われた、サークルの新入生歓迎イベントだった。
ワンダーフォーゲルの名にふさわしく、1泊2日で登った近くの山。
みんなが寝静まった夜に、山のてっぺんで君が告げた言葉はたった一言だけ。
「好きだ……」
あの時私たちは、確かに幸せの頂上にいたんだ。
その場所から離れることなんて、絶対に無い。
その時はまだ、そう思っていた。