レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
「ちょっ……千秋っ!」
慌てて元の位置に戻ろうとする私を、君は腕一本で引き留める。
そして、そのままゆっくりと……
言葉を選びながら話し始めた。
「オレさ……、一年前悩んでたんだ。
オマエのこと、好きすぎて」
「え……?」
「会うたびに、話すたびにどんどん好きになって。
しずくにこの想い受け入れてもらえるのか、もしかしたら重いんじゃないかって、不安だった。
……そんな時、あの映画を観てさ」
――あの映画。
「別れようって言った日の……?」
私が聞くと、君は小さく頷く。
お互い想い合っていながら、最後には別れを選んだ主人公たち。
そう言えば、あの映画を観た後だった。
君の表情が曇ったのは。