レンアイ前線、雨のち晴れ【LOVEドロップス参加作品】
「なぁ、しずく。
明日、改めて二人であの山登ろっか」
私の方に振り向いた君は、すごく爽やかな笑顔をしている。
そして、言った。
「今の続きは、その時言うよ。
あの山のてっぺんに着いたら言う」
雲に隠れていた太陽が、元気に顔を出す。
久しぶりに晴れ渡った空は、気温も上がって暖かい。
「あーあ!
今頃みんな汗ダラダラだろうなー」
わざとらしく大きな声を出す君を見て、私は心から笑った。
前を向く君の後ろ姿を見て、私は思う。
――ねぇ、千秋。
一年前のあの雨の日から、
キミを忘れたことなんて、
一度もなかったよ。
長い間、私の心の中に雨を降らせ続けていたレンアイ前線は、
もうすぐ、太陽を呼ぼうとしていた。
【レンアイ前線、雨のち晴れ・完】