【短編】大嫌いな君にデートに誘われたって行くわけないでしょ。多分。
「白山くん、なにして…」
ゆっくり唇が離れたとき、私は目をパチパチさせながら戸惑う。
「俺の初キスは…先輩です。今、ここで」
!!
「病人のくせになんてことを!!」
「聞きたいって言ったの先輩ですよ」
「言ったけど…キスしていいとは一言も…」
「…嫌…だった?」
また顔を近づけてそう言ってくる白山くん。
私の心臓はもうとっくに爆発しそうなくらいバクバクしてる。
嫌ではなかった。
むしろ…。
私は首を横に振る。
「フフッ。先輩のそういうとこ本当ダメです」
「…ちょっと白山くん…」
白山くんは私の顎をクイッと指で持ち上げる。
「先輩、何度言わせるんですか?白山じゃなくて…新です」
「……し、…新…」
「よくできました」
うぅ…。
生意気なこと言われてムカつくはずなのに。
それよりも。
愛おしいと。
離れたくないと思ってる自分がいる。
「好きだよ…葉月…」
新は私の耳元でそう呟くと、優しくギュッと抱きしめた。