【短編】大嫌いな君にデートに誘われたって行くわけないでしょ。多分。
「コンポタ〜〜!」
快斗は嬉しそうに自販機の前に立ってそう叫ぶ。
「叫んでも出てこないぞ〜〜」
「葉月、10円持ってない?」
まったく。
私はスクールバッグから財布を取り出す。
快斗は私のこと一度でも女だと意識したことあるのかな。
いや…。
ないよな。
私からの10円玉を無邪気な笑顔で待ってる彼を見て心の中でため息をつく。
『幼なじみ』
私たちはそれ以下でもそれ以上でもない。
そういう関係。
でも。
私はずっと前から、快斗を男の子だって意識してる。
小6の時、同じグループの子の好きな人が快斗だって知ってズキンと胸が痛くなったのを今でも覚えている。
快斗が誰かに取られるのは嫌だと思った。