陰陽師少女、言い寄られる
序章

見た目と中身のギャップが激しすぎる


桜も散った五月、あの日私はあいつ等に会ってしまった。
その前でも大変だったのにその日から波瀾万丈な日々を送る。

そう全てはあの日!できることなら戻りたい!
あの日、あの三人にさえ会わなければ!!
関わらなければ!!!
今よりもう少し落ち着いた生活をおくれたのにーーっ!!!!!!













「なぁなぁ、あそこにいる子めっっちゃ可愛くない?あの名札の色同じ一年だな!」

と一人の男子が廊下ではしゃぐ。

「どれどれ、って桜香(おうか)ちゃんじゃん!
ヤベー! 俺すっごい好きでファンクラブ入ってんだ!」

ともう一人の男子が興奮気味に喋る。

「ファンクラブまであんの?!スゲー
でもあんな可愛かったら納得だわー
それになんか儚げで守ってあげたくなるっ!」

「わかるわかる!なんでも、クォーターらしくて眼の色がブルーなのとか、あの緩やかにカーブした栗色の髪!全体的にフワッとしてるとこがまたいーよなっ!」

と二人で語る。

「「この白崎(しろざき)高校に入ってよかった!!!」」

と周りの目も気にせず盛大に叫ぶ。

その男子の視線の先には一人の美しい少女がいた。




う、うるせぇ……。
別にあんたなんかに守ってもらわなくたって大丈夫だし。
頼むからでかい声で騒がないで。五月蝿いから。
出だしから口が悪い翡翠(ひすい)桜香です。
父親と母親が美形でそれを色濃く受け継いだ私は昔から儚げで可愛いと言われ、ついたあだ名は『天使』または『姫』。
ふ…………ふざけるなぁぁぁーーーーー!!!
おかげでコッチは、こんな見た目なら中身もおしとやか、みたいな印象を勝手に持たれて性格を隠さなきゃいけねーしナンパ断ると何故かキレてきて対処しなきゃいけないし毎度毎度名無しから呼び出しくらうから放課後時間とられるし一度入学する前地毛の金髪を疑われて騒動起こしたくないから栗色に染めなきゃなんないし!
この顔でいい事なんか一つもないっ!!
こんな顔嫌いだーーーーー!!!

そんな感じで今日もいつもみたいに校舎裏に呼び出され向かおうとしていた時サブバに入っていたスマホがヴーヴーとなった。
見てみるとラインに母からメッセージが入っていた。

【仕事アリ 早めに帰るべし】

何故べしなんだ…。
それにしても早く帰れ、か。
どうしよ。呼び出されてるけど行った方がいいかな?まぁ、私的には面倒臭いから行きたくないんだけど。内容なんてほとんど検討ついてるし。
だけどなぁ〜 後からなんか言われたり、無視したって噂とか流されてもなぁ。
仕方ない 行くか。


校舎裏…………✧

「お、俺っ!翡翠さんが好きですっ!」

うるさい。
そんな大声出さなくったって聞こえてる。
校舎裏に来たら案の定男子がいてこうして告白を受けている。

「本当は胸の内に留めておこうとしたんですけど」

じゃあそのまま留めておいてくれよ。

「でも、あなたの事が頭から離れなくて」

そこは離せよ。

「別に付き合って欲しいとかじゃなくて」

付き合って欲しいからこうして告白をしてんだろーが!

「そっ、それでっ!!」

「ごめんなさい。私なんかよりとても素敵な人がきっとあなたには見つかるわ。」

さっさと終わらせ有無を言わせない笑顔で立ち去る。
あーイライラする。
ちゃっちゃっと帰ろ。




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