縁側で恋を始めましょう


そろりと視線を下げる。
暁の足元にあるボストンバックに嫌な予感がして冷や汗が流れた。

まさか……、まさか、まさか!

「俺も今日からここに住むから」
「はぁ~!?」

半分予想していたその答えに非難めいた驚きの声を上げる。
ここに住むってどういうことよ!
唖然とする私をしり目に、暁はどこ吹く風というように靴を脱いでずかずかと中へ入っていった。
それを慌てて追いかける。

「ちょっと待ちなさい! 私そんなこと聞いてないよ!」
「誰にも言ってないから。いいだろ、この家はウチの持ち物なんだし」
「いや、そうだけども。でも突然そんなこと言われても困るって」

つい強い口調で暁に向かって言うと、荷物を床に置いた暁が振り返る。

「何? 男とでも住んでいるの?」

淡々とそう聞かれて、グッと言葉に詰まった。

「それは……」

一緒に住むような男もいなければ、悲しいかな。連れ込む男すらいない。


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