縁側で恋を始めましょう


暁とのことは解決したけど、まだモヤモヤが残っていることがあった。
笹本のことだ。
中途半端な感じになってしまい、気まずくて顔を会わせにくくなっていた。
そして、やっと笹本を昼ごはんに誘えたのは、あれから一週間後だった。

この一週間、完全に避けられていた。
当然だろうけれど、でも私としては一度話せたらと思っていたから。
営業に出ていた笹本を、ロビーで無理やり捕まえたのだ。

「お前って、強引だな」
「そうでもしないと話せないでしょう。メールだって無視されてたし」

食後の水を飲みながら笹本はあきれ顔だ。
でもお互い落ち着いて顔が合わせられている。

「笹本、あのさ……」
「ごめんな、倉本。あの日のことは忘れて」

笹本は苦笑する。
いや……、忘れろと言われても、と戸惑う。

< 117 / 125 >

この作品をシェア

pagetop