縁側で恋を始めましょう


「あの時言った気持ちは本当だ。俺はお前が好きだったし」

改めて好きと言われるとドキッとするし、動揺する。
私の反応をみて、笹本は明るく言った。

「でも、親しい同期って関係に甘えたままで、タイミングを逃していた俺も悪いんだ。だから……、お前を困らせたいわけじゃないし、今まで通り仲のいい同期として、たまに飯でも行ってくれると嬉しい」

笹本はやや寂しげに微笑んだ。
私は……、あんなに一緒にいたのに、笹本の気持ちに気が付かなかった。

「笹本、本当にごめん」
「だからいいって。何も言っていなかった俺も悪いし。まぁ、気持ちの整理に一週間はかかったけどな。避けていてごめんな。あの幼馴染と付き合うんだろう?」
「うん」
「だよな。そんな気がしていた。お前、いつも幼馴染の話していたし」
「そうかな」
「気が付いていなかったのかよ。尚更、俺の出る幕ねぇじゃん」

笹本は笑い、「じゃぁ、また水島と三人で飲みに行こう」と声をかけ営業先に出向いて行った。


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