縁側で恋を始めましょう


住みたかったと言われても……と、どうしたものかと困っていると暁は閃いたように手をポンッと叩いた。

「紗希はこの家の家賃を払っているんだよな」
「そうよ。格安だけどね」
「俺を置いてくれるなら、その家賃はなしでいい」

本当!?

その提案にパッと顔を上げた。すると暁はニヤリと口角を上げる。
あっ、しまったと思ったが、もう遅い。

「格安だって言っても、毎月何万か払っているんだろ? それを俺が払って、紗希はなしにすることだってできる。ついでに、朝と夜の食事も俺が作ってもいい。なんなら掃除も俺がする」
「ほ、本当に?」

暁の提案にごくりと唾をのむ。家賃なしに食事つき。料理が苦手な私にはおいしい条件だ。
しかも掃除までしてくれるなんて。正直、ひとりで一軒家の掃除はなかなか大変でマメに出来ないのが現状だった。

暁の提案は美味しい話だ。

同居しても暁の両親に黙っていればいいだけか。暁の両親がここに訪ねてくることはそうそうない。つまりは難しいことではないのだ。


< 14 / 125 >

この作品をシェア

pagetop