縁側で恋を始めましょう
料理は昔から苦手だ。
そういえば、高校生の頃。
当時の彼氏のために作ったバレンタインケーキの試食を暁に食べさせたことがあった。
暁は全部食べた後に、「ケーキよりチョコレートの方が喜ぶと思う。ほら、湯せんで溶かして形を作るやつ。あれ可愛いし」とアドバイスをくれ、なるほどとその通りにしたことがあった。
彼氏は喜んでくれたが、暁はその後二日ほど腹痛で学校を休んだと聞いたことを思い出した。
急に思い出した苦い思い出に顔をゆがめ、言い訳のように口をとがらせる。
「作れないことはない」
「わかったって」
そう言いながら目線はテレビに向かっている。
可愛くない!
むぅと睨むがどこ吹く風であしらわれてしまった。