縁側で恋を始めましょう
食後に、私の定位置でもある、庭先に面した縁側でくつろぐ。
一日の終わりを縁側でゆっくり過ごすのが大好きなのだ。
大きく伸びをしてリラックスしていると、後ろから冷たいものが首に当てられ「ひゃぁぁ」と間抜けな声がでた。
「なんつー声だしているの」
「びっくりするでしょう!」
抗議して振り返ると缶ビールを持った暁が枝豆とともに立っていた。
「あー! それは!」
「俺の分」
「え、嘘でしょう!?」
驚愕すると「嘘」と苦笑してビールを私に手渡す。ひんやりと良く冷えていた。
「ありがとう。やっぱり仕事終わりにはこれだよねー」
うきうきとプルタブをプシュツと開けてグビッと喉を潤す。
ぷはーと満足していると、隣から呆れるような目線を感じた。
「ねぇ、前から思っていたけど紗希って女子力って言葉知っている?」
「なんだっけ、それ」
とぼけながら今度は枝豆に手を伸ばす。あぁ、至福。