縁側で恋を始めましょう


食後に、私の定位置でもある、庭先に面した縁側でくつろぐ。
一日の終わりを縁側でゆっくり過ごすのが大好きなのだ。
大きく伸びをしてリラックスしていると、後ろから冷たいものが首に当てられ「ひゃぁぁ」と間抜けな声がでた。

「なんつー声だしているの」
「びっくりするでしょう!」

抗議して振り返ると缶ビールを持った暁が枝豆とともに立っていた。

「あー! それは!」
「俺の分」
「え、嘘でしょう!?」

驚愕すると「嘘」と苦笑してビールを私に手渡す。ひんやりと良く冷えていた。

「ありがとう。やっぱり仕事終わりにはこれだよねー」

うきうきとプルタブをプシュツと開けてグビッと喉を潤す。
ぷはーと満足していると、隣から呆れるような目線を感じた。

「ねぇ、前から思っていたけど紗希って女子力って言葉知っている?」
「なんだっけ、それ」

とぼけながら今度は枝豆に手を伸ばす。あぁ、至福。


< 20 / 125 >

この作品をシェア

pagetop