縁側で恋を始めましょう
「え、凄いイケメン!」
「んー、まぁ、顔はいいかもね」
「いいなぁ、紗希。こんなイケメンと同棲なんて」
「同居ね、同居」
そう訂正するが香苗はずっといいなを繰り返す。
「私ならこんなイケメン幼馴染がいたら狙うけどな」
「えっ」
ドキッとして香苗を見るとニヤリと笑っていた。
「嘘、嘘」
そう言ったが目が笑っておらず、冗談に聞こえない。
今の彼氏が一番だと言うが……。
変に悶々とした気持ちのまま香苗と別れ、フロアへ戻ると笹本が企画課から出てきた。
「お、よう」
「お疲れ。なに、ウチに用?」
「新製品の打ち合わせが伸びて今終わった。これから飯。お前は? もう昼終わったのか?」
「うん。見ての通りよ」
「そうか、なぁ水曜空いているか? 飲みにいかねぇ?」
水曜はノー残業デーなので、全社員残業なしで帰れる日だ。