縁側で恋を始めましょう
「遅くなったこと、怒っているの? ごめんね、これからは……」
「笹本さんとふたりで飲んでいたの?」
「え、そうだけど」
「あの人、紗希の彼氏?」
「笹本が? それはない」
こんな体勢でなんで笹本の話をしているのかよくわからなかったが、暁の雰囲気がいつもと違うこともあり、ここは素直に話に乗ろうと思った。
少し暁が怖い。知っている暁ではないようだ。
それなのに、暁と近いこの距離が恥ずかしくなってくる。
「ふぅん、じゃぁ笹本さんの……」
「え?」
なにか低い声で呟くが、はっきりと聞き取れなかった。いや、最後の方はほとんど声にはだしていないだろう。
「ねぇ、とりあえずどいてよ。私お風呂に……」
「お風呂に入りたい? そうだね、男の匂いついているし早く落とした方がいいかもね」
珍しく棘のある言い方に眉を潜める。