縁側で恋を始めましょう



「男の匂い?」
「笹本さんって、香水かなにかつけているでしょう」

そう言われて「あぁ」と頷く。香る程度にコロンを付けていた気がする。
先ほど肩を借りていたから匂いが付いてしまったのだろう。

「男の匂いなんて簡単につけて、バカじゃないの」

そう低い声で呟く暁にカチンときた。別に故意的に匂いを付けようと思ったわけではない。
それなのにそんな言い方をしなくてもいいではないか。
悔しくなって、反論しようと口を開いた瞬間。
暁の苦し気に顔が歪んだ。

「え……」

なんでそんな顔をするの。
そう言おうとした瞬間。私の唇は暁によって塞がれた。

「う、ん!?」

見開いた目の前には暁の長いまつげが見える。

なにこれ。
なんだこれ。




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