縁側で恋を始めましょう
「え、なに……」
戸惑っていると暁が顔を上げ、至近距離で見つめてきた。その顔が色っぽくて、ハッとする。
「弟は、こんなことしないでしょう」
やや掠れた声で呟き、妖艶に笑うと再び触れるだけのキスを唇に落としてきた。
「おやすみ」
驚いている私にニヤリと笑うと、そのまま上からどいて二階へと上がっていった。
「……なに、あれ」
掛けられていた重みがなくなり、一気に身体が軽くなった気がしたが、私はその身体を起こすことができなかった。
心臓が壊れるんじゃないかと思うほどうるさく鳴っている。身体に力が入らない。
なにあれ、なにあれ。
あんなの私が知る暁じゃない。
あの男は……。
あの男は、誰だ。