縁側で恋を始めましょう
その日、暁は本当に帰りが遅かった。
何となく先に寝るのも、と思い、縁側で横になりながら本を読んでいると玄関の鍵が開く音がした。
体を起こしてリビングの扉を振り返ると、暁が入ってきて私に気が付いた。
「あれ、まだ起きていたの」
目に見えて疲れていそうだった。はぁ、とため息をつきながらスーツのジャケットをソファーに投げる。
「おかえり」
「紗希、ご飯は食べた?」
「うん。適当に食べた。大丈夫? 疲れていそうだね」
「あぁ、うん。結構疲れた」
そう言って、そのままソファーに身を投げ出すように横になる。すぐにでも寝てしまいそうな様子だ。