縁側で恋を始めましょう
グッと言葉に詰まるが、悔しいような、悲しいような気持ちは消えない。
置いて行かれたような気分になるのはなぜだろう。
「だからって言ってくれてもいいのに」
「ごめんね」
軽い口調で言われ、ムッとする。そんな簡単な謝罪なんてほしくない。
「いつから書いているのよ?」
「本格的に書き始めたのは、大学生の頃から」
あっさりとした口調だが、ギョッとした。
「え? そんな前から?」
「でも売れたのは最近。大学出てから一度は就職したし。就職しながら出版社に投稿していて、デビューが決まったから退職した」
「……そうだったんだ。あぁ、だから生活費も困らなかったんだね」