縁側で恋を始めましょう

むしろ雑誌に載らなければ未だに黙っていたのではないだろうか。

「あの、暁はどうして小説家に?」
「さぁねぇ、興味があったのかもね。あの子、本が好きだったし、作文もよく褒められていたし」

そうか……。
暁は中学高校とバスケをずっとしていたから、部活が忙しくて本なんてあまり読まないかと思っていた。

「でも、ペンネームのヒントは紗希ちゃんが教えてくれたんでしょう?」
「え? どういうことですか?」
「紗希ちゃんが、小学生の時のキャンプで言っていたことがヒントになったって話していたけど。それは聞いてない?」

暁の母は首を傾げるが、私は戸惑うばかりだ。
小学生のキャンプ。
そう言えば、暁も以前、小学生の時のキャンプのことを覚えているかと聞いてきたことがあった。
あの時の何かが、暁のペンネームのヒントになったってこと?



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