雪の日に祝福を…。
  


 》 》


「いい子ね・・・。」


 新生児室に着くと立ち上がり姪っ子を腕に抱いた。有り難いことに妹たちは、夫を待っているらしくその場にまだ現れていなかった。


「生まれてきてくれてありがとう。あの2人を宜しくね。」


 柔らかく、暖かく、優しいその存在に涙が溢れる。


「さようなら。」


 綺麗な笑顔を向けてくれる可愛い幼子の額にキスをする。


 屋上に向かう車椅子用のエレベーターに乗る。


 》 》


「月依。」


 彼女の病室に入ると綺麗に整ったベッドと畳まれた病院着だけがあり本人の姿は、なかった。


「すみません。若狭さんは、検査とかですか?」


「いいえ。今日は、何も予定にありません。」


「そうですか・・・。」


 ナースステーションで訊いた話しに部屋の様相がなぜに違和感を覚える。


「どこ・・・行った?」


 居場所が今の彼女の状況から不安にさせる。
 すぐに探しに向かう。


 》 》


「はぁ、やっぱり外の空気はいいわ・・・。」


 新鮮な空気を胸一杯に吸い込んだ。
 周りには、誰も居ない。それがとても自分らしかった。


  
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