雪の日に祝福を…。
  


 風が当たりを包む。

 フワッ


「ね、忘れてなかったでしょう。」


 袋の中身の白い紙吹雪が青空といい風景を作っていた。


「やっぱり…白は、要るものね・・・・・・」


 ヒラヒラと雪のように舞う中でゆっくりと車椅子に座り直し空を仰ぎ見る。


「白いわね・・・・・・。」


 雪の思い出は、もうたくさんなのに想いが私を離さない・・・・・・。


「月依っ!!」


「月依さんっ!!」


 屋上で最期を迎え入れようとしている時に現実に引き戻す声が耳に届いた。


「あらあら。思いにもよらない人を…連れてききたわね。」


 ため息交じりに呟いた。


「月依、具合が悪いのか?」


 状況を理解している男が駆け寄り焦った様子で声を掛けてくる。


「煩いわよ…悠葵。」


 重い瞼をゆっくりと上げて答える。


「月依、さん・・・・・・。」


「悠葵。なんで連れて来ちゃったの?」


「すまない・・・。」


「月依さん、なんでっ!!」


「はいはい。少し静かにしてね・・・・・・。もう少しだから・・・」


 慌てている二人をゆったりと制する。


「…・・・月依?〝何を〟・・・・・・した?」



  
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