雪の日に祝福を…。
  


「綺麗な婚約者が悪い。」


「もう、何それ。」


「こっち向いて。」


「ちょっと、写真撮ってるの?」


「記念だよ。」


「もうやめて。」


「お客様。新作も入荷したんですが・・・・・・。」


 イチャつく二人の担当プランナーが声をかけてきた。


「全部お願いします。」


「はい。」


「全部着てから決めよう。」


 そう言って立ち上がる。


「どこ行くの?」


「ちょっと電話。」


「早くね。」


「解ってる。」


 出て行く婚約者を見送りながら倖せでつい口元が緩む。


「悠葵(ゆうき)さん。逢って話しませんか?」


「今、ドレスを選んでて・・・・・・。」


「私。お姉ちゃんと仲直りしたいんです。相談に乗ってください。」


 健気な申し出を無下には出来なかった。


「解った。明日なら時間取れるから。」


「じゃあ、明日。」


 電話を切りギュッと握り締める。


 》 》


 妹が毒牙を見せているなんてちっとも知らなかった。まさか身体を餌にするなんて・・・・・・。
 私が甘かったのか。

 彼の心が一瞬でも余所を向くなんて思いもしなかった。


  
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