雪の日に祝福を…。
  


 全く目障りな子。


 《 《


 結婚式が近くなると済ませておかなければならない仕事が山積みで中々二人の時間が取れなかった。


「鈴村君は?」


「なんか急用とかで早退しましたよ。何か急ぎの用事ですか?」


「資料が欲しかったんだけど解る?」


「見てみますね。」


「うん、お願い。」


 アシスタントの子に任せて自分の窓際の席に戻る。


「(どうしたんだろう。急用って・・・・・・。)」


 心配だったのでメールを送る。


「先輩。この資料でいいですか?」


「うん、ありがとう。助かった。終電無くなるから帰りなさい。」


「はい。お疲れ様でした。」


「はい、お疲れ。気を付けてね。」


 今日も残業。上司も後輩も帰ってしまった。
 守衛さんが挨拶して心配してくれた。
 婚約者から電話もメールもない。


「おーい、悠葵。無視ですか~。」


 一息入れるために自販機に寄ると夜景が見える。クリスマスも近いからかいつも以上に明るく見えた。


「やだ。また、雪・・・・・・。」


 夜景を邪魔するように雪がチラつく。


「さぁ、もうひと頑張り。」


  
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