雪の日に祝福を…。
  


 耳を塞ぎたくなる。


「理由を、訊かせて。」


「すまない。何も訊かないで別れてくれ。」


 人混みの中で頭を下げる。


「何があったの?私のこと嫌いになった?」


「違う。」


「じゃあ、なんで?」


「許してくれ否、許さなくてもいい。君とは、結婚できないんだ。」


 頑なに理由を言おうとしない。


「女・・・・・・?」


 恐ろしいものだ。愛に疎かった自分にも〝大6感〟が備わっていたようだ。


「すまない!」


「(否定もしないわけ?)
  どこの女?」


「言えない。」


「女が居ても構わないわ。二人で乗り越えましょう。」


 驚くほどに冷静な自分が居た。


「それは・・・出来ない。」


「そっちの女の方がイイってこと?」


「そうじゃなくて・・・・・・」


 口ごもる婚約者の態度に恐ろしい言葉が浮かんでしまった。


「まさか・・・・・・〝デキた〟、の?」


 それは禁断の一言だった。頭を上げ驚いた顔を婚約者が向けてきた瞬間に〝疑念〟は、〝確信〟になった。


「どこの女?」


「本当にそれだけは・・・。」


「じゃあ、結婚するってその女・・・知ってた?」


  
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