雪の日に祝福を…。
  


「弦っ!!」


 父親が窘める。


「もう相変わらず手厳しいんだから。でも社会に出たらオブラートに包むってことも大事なんだからね。」


「ご、ごめんなさいねこの子思ったことすぐ口にするから。」


「いいんですよ。さ、段取り説明しますね。」


「俺、帰っていい。」


「もう行っちゃうの?」


「だって自分のこと虐めて月依さんマゾみたいだし。」


「「弦っ!!」」


「ふふ。じゃあ、式の時にまたね。」


 嫌味をサラリと受け流して少年を見送る。


「すまないね、月依さん。」


「いいえ。あれくらい言われた方が逆にスッキリします。みんな避けて通りたがるから。」


「月依ちゃん・・・本当にごめんなさい。」


 手を握り泣いて相手の母親が謝ってくれた。


「月依ちゃんが納得する形で2人には、ちゃんと償わせるから。」


「ああ、約束する。」


 自分の親よりも親らしい優しい気遣いに心から救われる。


「だったら2人を祝福して私を棄てて下さい。」


「月依・・・・・・ちゃん?」


  
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