雪の日に祝福を…。
「訊かせて欲しいと思ってね。息子と随分と仲が良さそうだから。」
「〝息子〟って・・・。」
「あれ、あの子もしかして〝千明〟って名乗っていないのか?」
「千明と訊けばすぐに解ります。でも、私の周りに居ないんです。」
「そうか。ならば、〝村雨〟と言う二十歳そこそこに若者は、いるかね?」
「〝村雨〟・・・・・・?」
ハッとしたのに気が付かれた。男が笑う。
「知っているね?」
「はい。村雨 燵夜くんは、お父様を目の前にして言いにくいのですが私の彼です。」
「やっぱりね。違うと否定していたがマンションを引き払ったのに新しい住処を選んでいないからもしかしてとは思っていたんだが。まさかこんな美人のキャリアウーマンが相手とは・・・・・・。」
見定めるような視線が刺さる。
「まさか、千明のご子息だったとは。」
「ああ。1人息子だから困っているんだ。画家になりたいと言って出て行った。まさか母親の姓を名乗って暮らしてるとはな。」
「彼を連れ戻しにいらしたんですか?」
「それもあるが、君に説得を頼みたいんだ。」
「〝説得〟ですか?」