雪の日に祝福を…。
「馬鹿な夢を追いかけていないで早く経済学科に専攻を移せと言ってくれないか。」
ワンマンと有名なだけはある物言いだ。
「私に説得は、出来ません。かれは、今コンクールに出すため毎日頑張ってます。」
「コンクールが終われば話してくれるかな?」
「嫌です。」
「月依さん」
彼と同じ低く甘い声。
「きみは、賢明な判断が出来る女性だと思ってるよ。だから、大企業の跡取りの意味は、解るよね?」
「彼にも彼の人生があります。」
「そうだが。会社には、跡取りが必要なんだ。絵画なら会社に居ても描けるだろう。」
「でも、画家が彼の夢なんです。」
「あなたには、ガッカリだ。〝夢〟なんてものに振り回させなかったから今の地位を手に入れたんだろう?そんな君が夢を語るのかい?」
「コンクールが終わるまでそっとしておいてください。」
「コンクールが終わったらうちに帰してくれるんだね?」
圧力が意思を弱らせる。
「考えてみます。」
「いい答えだね、月依。」
横に座り笑顔を向けられ黙ってしまう。
「息子さえ帰るようにしてくれたら君とのことは妨害しないからね。」